長寿はかつて「人類の夢」とされ、肯定的に受け止められていました。
ところが、この夢がかなった今、多くの人々がこの長い人生をネガティブに捉え、
将来の不安から現在を楽しめていない人がたくさんいるのです。
「人生100年時代」はどの世代にも影響することですが、
特にミドル世代といわれる40代50代に大きな影響を与えているようです。
平均寿命がもっと短かった親の世代がロールモデルになりにくい傾向にあり、
年上の世代とは異なる生き方を懸命に模索しなければならなくなりました。
その結果、将来への不安が日々の生活に影を落としているのです。
40代50代のみなさんは、あと半世紀続くかもしれない長い未来に向けての
資金計画、健康管理、自己啓発、副業やリスキリングなどについて日々悩み、
模索しています。これらは個人の悩みではなく、社会全体の問題です。
こうした問題の答えを探ることは、40代50代だけでなく
今を生きる私たち全員のテーマと言えるでしょう。
「これからは、働き方、学び方、余暇の過ごし方、引退後の生活など、
すべての側面において、従来とは異なる新しいアプローチが必要とされるだろうな」
——そんなことをぼんやりと考えていたある時、
「私の専門が役立つのではないか」と気づいたのです。
私の専門は「異文化コミュニケーション」です。
海外など異なる文化圏において、うまくコミュニケーションを取る方法などを研究しています。
「人生100時代に直面する」というのは、
私が研究する「異文化を初めて経験する」のとよく似ています。
だとすると、異文化コミュニケーションとしてこれまで研究してきたことは、
人生100年時代に求められる新しいアプローチを探すヒントになるのではないだろうか。
そう思ったことが、本書を書くきっかけです。
先の見えない不安を乗り越え、新たに人生をデザインするにはどうすればよいのでしょうか。
それは、私たちが人生100年時代をどう捉えるかで大きく変わります。
すなわち、人生100年時代をチャンスとしてポジティブに受け止めるのか、
あるいはピンチとしてネガティブに受け止めるのか、ということです。
まなブーケは、将来の不安に直面しながらも、希望を見いだし、
充実した未来を築いていくためのガイド役となることを目指しています。
ガイドがいれば、人生100年時代をポジティブに受け止めることができるはずです。
みなさんの気持ちに寄り添いながら、不安を解消し、
行動に移すための具体的なアドバイスを提供します。
(著書『ミドル世代を襲う人生100年時代
お金・健康・老後の不安やストレスを克服する』日経BPより)